URATACHI COLORS ARCHIVE

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| 編集後記 |

 出張の醍醐味は、“その土地の旨いものを喰らう”ことにある。いま時はネットで検索することも多くなったが、やはり確実なのは地元の方々からの生情報を元に探す方法だろう。全国各地、数々のお店を訪れたが、それに勝るものはないと思う。ガイドブックやネットのグルメサイトにはない名店に出会えた時は、得も言えぬ満足感に浸ることができる。
 今回、対談でお世話になった渋玄さんは、正にこのパターン。日頃からお世話になっている山形屋の相談役からお誘い頂き訪れたのだが、立地、店づくり、お料理、そして接客(大将のお人柄)、どれをとっても私好み、一目惚れしたお店である。
50歳を過ぎた私にとって、残された限りある食事をどこで取るかは大問題で、こんな出会いが至福の喜びとなる。
 そしてもう一つ、孤独のグルメさながら、長年の勘を頼りに飛び込みで探すやり方もある。街を徘徊し、面構えのいい奴をひたすら探す。何度か店の前をいったり来たり、様子を伺いつつ飛び込んでみる。当たり外れはあるものの、当たりを引き当てる喜びは、麻雀で役満をツモったくらいの感動がある。
 対談をお願いしたもう一軒、イル・ソリーゾさんは、この飛込パターンで出会ったお店だ。前を何度も通りながら何のお店か分からないままモヤモヤしていたところ、友人が突撃訪問、イタリアンであることが判明した。その日は入れず、日を改めてお食事に伺ったのだが、イタリアで修行を積まれたオーナーシェフの腕の良さ、お料理への姿勢、またサービスを務める奥様が作り出す店の雰囲気に感激、うちのシェフを連れて何度も通うほどお気に入りの一軒となった。
 山形屋さんの裾野に広がる「ウラタチ」は、今やこんなグルメな城下町となりつつある。狭い路地裏には、アジアン、フレンチ、イタリアンから和食まで、他県からわざわざ来る価値ありの名店から、カジュアルに楽しめる普段使いのお店まで、ありとあらゆるバリエーションが溢れている。
 名店が街への集客を増やし、それがまた次の名店の誘致を促していく。自然と生まれてくるこの集積が街の魅力へとつながり街を元気にしていく。理路整然と意図的に作られたショッピングモールにも確かに便利さはある。しかし、ここにはショッピングモールには無い魅力が溢れている。
 今この原稿を書いているアクターズ・スクエア・コーヒーさんもその一つ。一度足を運ぶと虜になってしまいそうな、人と人とのつながりがある。一杯のコーヒーから様々なストーリーが生まれていく。さぁ、そんな魅力を探しに、今宵は「ウラタチ」に迷い込んでみませんか? きっと素晴らしい出会いがあなたを待っていますよ。


株式会社アレッタファインレストランズ
代表取締役 葛和伸隆

[STAFF]

Publisher Nobutaka Kuzuwa
Director Hidenori Yoshida
Photographer Tsuneharu Doi
Illustrator Kazuhiko Ifuku
Copywriter Saburo Nibun
Designer Hidemasa Yoshino

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