シンガポール美食の旅 前編

訪れた場所:シンガポール

 シンガポールは、マレー半島の先端にある小さな島国。その大きさはなんと東京23区ほど!小さいけど、約600万人もの人たちが暮らしていて、九州で一番の福岡県より多いんです。独立してから僅か60年ですが、経済的に驚くべき発展を遂げていて、今では国民一人当たりのGDPが世界第4位という豊かな国です。
 シンガポールの特徴の一つは、多民族国家だということ。中華系、マレー系、インド系などが暮らしていて、公用語はなんと英語、中国語、マレー語、タミール語の四つ。チャイナタウンやリトルインディア、アラブストリートなど異なる文化を体験できる場所もたくさんあり、食の多様性が味わえます。今回はそんなシンガポールの多彩な食の魅力をご紹介します。

本場のバクテースープは辛い⁈

▲ソンファバクテー

 夕方に現着、先ず向かったのはシンガポールで最も有名なバクテー専門店「ソンファバクテー(松發肉骨茶)」。1969年、路上のリアカー販売からスタートしたこちら、今では15店舗あり、ミシュランピブグルマンに選出されるなど、名実ともにシンガポールを代表するレストランです。

▲バクテー(肉骨茶)

 バクテー(肉骨茶)は、シンガポールで親しまれているスープ料理で、骨付き豚肉を漢方やスパイスと一緒に煮込んだもの。元々は肉を取った後に残った骨付き肉を無駄にせず、滋養をつけようとした労働者たちが、始めたのがルーツとされている。マレーシアでもよく食べられているお料理ですが、シンガポール風は胡椒が効いたクリアなタイプ(通称白バク)、地域によって特徴が異なるようです。今回は一番シンプルなポークリブのバクテーを頂きましたが、レバーや腎臓、胃袋など色々な部位も楽しめるよう。そしてスープはお代わり自由!ポットで何回も注ぎに来てくれます。このスープが想像以上に胡椒が効いていてパンチがある。これはご飯にかけて食べるのにもピッタリです。更に厚揚げの煮物と豚足も追加、どれもビールとの相性がバッチリで飲み過ぎました。

▲メニュー表

▲豚足

人気のホーカーでチキンライス

 シンガポールの食文化を代表する存在として、2020年にユネスコ無形文化遺産に登録された「ホーカー」。英語のhawker(行商人)を意味し、街中の至る所に、露天商が集まったホーカーセンターがたくさんあります。中華、マレー、インド系など多様な料理がリーズナブルな価格で提供されていて、市民の日常生活に欠かせない存在となっています。

▲マクスウェルホーカーセンター 外観

▲マクスウェルホーカーセンター 内観

▲天天海南鶏飯

 今回訪れたのはチャイナタウンにある人気のホーカーセンター「マックスウェル ホーカーセンター」。約100軒の屋台が軒を連ねていて、特に「天天海南鶏飯」のチキンライスが有名とのこと。11時過ぎに伺いましたが既に行列が出来ていました。ウエットティッシュで席を確保した後に、しばらく並んで、チキンライスに煮卵を追加して注文。ようやく実食です。因みにホーカーでは、ティッシュなどでテーブルを確保してから料理を頼むのが一般的なスタイルです。

▲チキンライス

 植民地時代に移民してきた海南島出身者から発祥した海南鶏飯。茹でた後のスープ(茹汁)で炊き上げたご飯に、チキンを乗せて頂きますが、上のチキンにはボイルとローストの二種類があります。ボイルしたものは、肉がしっとりとしてジューシで、皮はつるんと滑らかな食感、鶏肉本来の繊細な味わいが楽しめます。ローストしたものは、皮に香ばしさがあり、部位による食感や味わいの違いが格別。どちらも捨てがたい魅力があるので、今回は両方味わえるミッスクを頂きました。シンプルですがなかなかの美味、毎日でも食べられるシンガポール鉄板メニューです。

まだまだ続くホーカーグルメ

▲一家潮州魚粥・魚湯

 そしてシンガポール観光には欠かせないホーカーセンターからもう一軒。「一家潮州魚粥・魚湯」、フッシュスープの人気店のようです。近隣のオフィスワーカーらしき地元の方々で賑わっていて、オーダーまで結構待ちました。  魚の種類や部位を選べるようで、サワラ、シマガツオ、ハタなどが有り、更にトッピングも追加できます。今回はハタをチョイスし、エビを追加しました。スープをご飯と食べるスタイルと、スープに麺を入れるスタイルがあるようで、細いビーフンを選択しました。ソースは地元の人の真似をして、ニンニク、生姜の千切りと唐辛子に醤油をかけたもの、魚醤を準備し味変に備えます。しっかりと濃ゆい魚のスープにニンニクがマッチ、ご飯のおかずに良いかんじです。魚醤で香と塩味をプラスするのもなかなかいけています。サッと火を通した魚は柔らかくて旨い。麺との相性も良くてクセになりそうです。

 シンガポールで人気のホーカーで郷土料理二品を楽しみましたが、どちらのメニューも十数ドル、物価の高いシンガポールにしてはリーズナブルに食べられて、異国情緒も味わえます。シンガポールにお越しの際は、是非楽しまれてください。
 今回は港湾労働者からスタートした「バクテー」や定番人気の屋台の味「海南鶏飯」、「フッシュスープ」など、シンガポールの庶民の味をご紹介しました。次回はちょっとリッチなシンガポールグルメをご案内しますのでお楽しみに。

written by Nob2

20代からホテル、飲食サービス業に従事、福岡市のホテルイルパラッツォ、北九州市の門司港ホテル、札幌市のジャスマックプラザホテルなどの経営に携わる。2006年、ワールド・グルメ・バイキング宮崎山形屋店をオープンさせ話題に。2019年、全事業を売却しフリーのコンサルタントに。様々な国や地方の食文化を学びながら、モットーである、サービス業を通して「街を元気に、街の暮らしを豊かに」するを実践中。

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