
シンガポール美食の旅 後編

訪れた場所:シンガポール
多民族国家のシンガポールは、中華系、マレー系、インド系などのさまざまな食文化が融合し、多彩な料理を楽しめるご機嫌な国。アレッタのアジアフェアでも常連国のシンガポールからグルメ情報をお届けします。
濃厚なソースがクセになる一品

▲クラーク・キー
シンガポール名物といえば、カニ料理の王様ともいわれる「チリクラブ」ですね。ルーツは1956年の屋台、マダム チャー・ヤム・ティアンがトマトソースで炒めた蟹にチリソースを加えたのが始まりといわれています。その後、シェフのホイ・コック・ワーが、サンバルや溶き卵を使い、よりコクのあるオリジナルレシピを開発したことで、シンガポール名物となったようです。

▲ロングビーチの巨大水槽
人気の観光地「クラーク・キー」からゆっくり歩いて15分ほど、訪れたのは埠頭(キー)の中で最上流部にあるロバートソンキー(Robertson Quay)。かつては沼地だったが開拓され倉庫や造船所で賑わったが、衰退していたこのエリア。現在では跡地が再開発されレストランやバーが並び、昼間には散歩やジョギングを楽しむ人が多い素敵な街に。キーの中では最もシックな雰囲気で、上品なシンガポールが味わえる場所です。そんな街にあるのがシーフードの名店「ロングビーチ」のロバートソン店。店に入ると、先ず奥の水槽の大きさに驚かされます。物凄い品揃えで、これを捌けるってさすが人気店、期待が高まります。

▲シンガポール名物 チリクラブ
注文はチリクラブ一択、ちょっとお高いがアラスカ産の活キングクラブをチョイス、ハーフにしてもらいましたが、半分でもかなり大きくて食べ応えあり。身がぎっしりと詰まった蟹も最高ですが、とにかくソースが抜群に旨い。このソースをたっぷり染み込ませて食べる揚げたマントウがまた堪らない。これぞ名脇役といった一品です。シンガポール名物「チリクラブ」、是非また食べたい逸品でした。

▲アラスカ産の活キングクラブ

▲揚げたマントウとご一緒に
プラナカン料理の人気店に
マレー語で「プラナカン」は「ここで生まれた」という意味で、15世紀から19世紀にかけてマレーシアに来た外国人男性と現地マレー人女性の子孫を指します。男性は「ババ」、女性は「ニョニャ」と呼ぶことから、その食文化はプラナカン料理やニョニャ料理と呼ばれ、親しまれています。中華料理を基に、ココナッツミルク、ナッツ、タマリンドなどの東南アジア特有のスパイスやハーブを多く使用した濃厚でスパイシーな味わいが特徴です。チャイナタウンにある「ブルージンジャー」はこのプラナカン料理が食べられる人気店。ミシュランのビブグルマンにも選ばれている実力派です。

▲ブルージンジャー 外観

▲ブルージンジャー 店内

▲ビーフルンダン
先ずは「ビーフルンダン」、牛筋肉をココナッツミルクとスパイスで長時間煮込んだお料理から。アジア版ビーフシチューともいわれていて、CNNが発表した「世界で最も美味しい料理ランキング」で1位を獲得したこともある人気メニューです。お肉はほろっほろで柔らかく、意外とスパイシーでお酒に合う一品です。
続いて「Ngo Heong(ノヒョン)」、五香粉(ウーシャンフェン)で味付けした根菜や豚ひき肉、エビ、栗などのタネを湯葉で包んで揚げたお料理。サクサクとした根菜の食感が面白く、フワッと軽い感じで美味しいです。そして「ウダン・ニョニャ」。ウダンとはマレーシア語で海老を意味し、車海老を豆板醤、生ニンニク、唐辛子、ネギで炒めたお料理です。思ったほど辛くなく、これもまた酒のつまみにいい感じです。お皿にご飯を注いでくれて、これらのおかずと一緒に食べるのが、こちらのスタイルのよう。テーブルにセットされた、ピクルス風のお野菜も混ぜると、さっぱりとした酸味と甘味がまた旨い。

▲ノヒョン

▲ウダン・ニョニャ
中華料理にはないスパイスやココナッツの香り、タイ料理ほど辛くなく、日本人にも合うメニューばかり。プラナカン料理というと「ラクサ」くらいしか食べたことがなかったが、美味しくてファンになりました。ただこの後、大事件があるのですが、、、。
ドリアン・チェンドルで地獄

▲ドリアン・チェンドル
プラナカン料理の〆は、定番デザートのチェンドル、かき氷のスイーツです。かき氷に、小豆、練った米粉をパンダン・リーフで色と甘い香りをつけた緑のゼリー、濃厚なココナツミルク、更にグラ・メラカ(Gula Melaka 英語名Palm Sugar)という、ヤシからとれるブラウン・シュガーのシロップをかけたものですが、こちらは更にドリアンのピューレがかかっているスペシャルバージョンが登場。
ドリアンはバンコクで食べたことがあり、それほど臭くもなく、美味しくもなくって感じでしたが、今回は強烈に臭かった!一口、二口とチャレンジしたが、匂いがきつ過ぎてギブアップ。お料理は大変気に入っていたが、デザートは苦手でした。しかし、本当の問題はこれから。ホテルへ戻る途中から、胃に激痛が!ネットで調べてみると、医学的な根拠のない話だが、ドリアンとアルコールは食べ合わせが悪く、胃が痛くなることがあるらしい。急いでホテルに戻り、水をがぶ飲みして吐けるだけ吐き出したが激痛は収まらず朝まで続き、シンガポール最後の夜は、大変想い出深いものとなりました。もうドリアンは絶対に食べないぞ!
まだまだ日本では馴染みがないシンガポールのお料理ですが、どれも美味しくて良い勉強になりました。今回の旅を通して、食は物理的な地域性だけでなく、そこで暮らす民族の歴史が反映される文化であることを改めて感じることができました。それにしてもシンガポールはとっても刺激的、また是非来たい素敵な街でした。
written by Nob2
20代からホテル、飲食サービス業に従事、福岡市のホテルイルパラッツォ、北九州市の門司港ホテル、札幌市のジャスマックプラザホテルなどの経営に携わる。2006年、ワールド・グルメ・バイキング宮崎山形屋店をオープンさせ話題に。2019年、全事業を売却しフリーのコンサルタントに。様々な国や地方の食文化を学びながら、モットーである、サービス業を通して「街を元気に、街の暮らしを豊かに」するを実践中。



