
台湾を味わい尽くす三泊四日

訪れた場所:台北(台湾)
やっぱり台湾といえば屋台飯

▲中正紀念堂
今回はお隣の国、台湾のお話。福岡からの直行便なら僅か二時間半で台北、桃園国際空港に到着。近いのに、どこか空気が違う。ホテルに荷物を置き、早速街に繰り出します。
まず向かったのは、台湾3大観光名所の1つ、中正紀念堂。初代総統蔣介石の追悼のために建てられた場所で、一糸乱れぬ衛兵交代式のパフォーマンスが有名です。張り詰めた空気が印象的。見終えた頃には既に夕方、台湾グルメに向けて出発です。

▲小籠湯包
直ぐ近くにある小籠包が人気のお店「杭州小籠湯包」へ。因みに、日本で一般的な小籠包と同じものですが、“湯”が付くのはやや専門的な言い回しで、スープ感が強いタイプといったニュアンスのようです。さすが人気店、10名以上並んでいました。伝票を貰い順番を待ち、番号順に呼ばれるシステム。20分ほど待ちましたが、流れが良く、思ったよりすんなり入店できました。
注文は伝票に記入して渡す方式。糸瓜、蟹味噌、ノーマルと小籠包を三種注文。飲みものは自分で冷蔵庫から取るセルフ式。因みに、台湾では食べる店と飲む店ははっきり区別があるようで、こういう店ではあまりお酒は飲まないらしく、ガンガン飲むと少し浮くかもしれません。確かに、飲んでいるのは日本人らしき旅行客ばかりでした。台湾ビールはやや物足りない印象です。小籠包も思ったほどではありませんが、やはり本場の空気で食べると上がります。

▲魯肉麺
続いて二軒目は、台北を代表するルーロー飯の人気店「金峰魯肉飯」へ。ここも人気店だけあり結構大勢並んでいます。
お店を回しているおばちゃんがせっかちで、店内はなかなかの慌ただしさ。一気に現地のリズムに引き込まれます。しばらく待って、指示されたテーブルへ。親子連れと相席、お父さんも少し不機嫌そうで緊張感がありました。台湾は親日で優しいとよく聞きますが、こういう一面もあるのだな。
注文はルーロー飯の麺バージョン、280円は安い。しかし、こちらの方はアルコールどころか、水もあまり飲まないのね。喉が詰まらないのかと少し気になりました。
台湾二大B級グルメを味わった感想は、味だけで言えば日本の方が旨い気がする。ただ、この雑多さと熱気は嫌いじゃない。異国情緒はたっぷり味わえる素敵な夜でした。
静けさに浸る中国茶
台湾を訪れてハマってしまったのが中国茶。どうも、地域の歴史や文化に根差した民藝的なものに惹かれる傾向にあるようで、焼酎や泡盛といった地酒、やちむんや唐津焼きといった陶磁器、そして最近では台湾のお茶なんてものにも興味津々なのです。
珈琲人気に押され、少なくなっているようですが、台北にはまだまだ茶藝館が点在しており、観光客にも人気のようです。
人気の散策エリア、永康街(ヨンカンジェ)を抜け、高級住宅街の青田街(チンデンジェ)に向かっていくと、街の空気は少しずつ落ち着きを取り戻します。人の流れが緩み、音も一段低くなります。
センスの良いカフェやレストランが点在するこのエリアでも、一際魅力的なのが、元大学教授の邸宅だった日本式家屋をリノベーションした茶藝館「青田茶館」。庭に面した席に腰を落ち着けると、自然と会話のトーンも下がります。

▲青田茶館

▲落ち着いた店内

▲凍頂烏龍茶
やがて運ばれてくる茶器一式。茶葉を温め、湯を注ぎ、香りを確かめてから口に含むまでの一連の流れに、無駄がない。派手さはないが、その所作ひとつひとつに理由があり、積み重ねられてきた時間のようなものを感じます。
お茶についての説明や提供方法なども興味深いが、それ以上に印象に残ったのは、その体験の設計そのもの。環境作り、器選び、提供のスタイル。すべてが揃って、はじめて一杯のお茶になるのでしょう。台湾四大銘茶の一つ「凍頂烏龍茶」をじっくりと味わい幸せ気分でした。
一皿と同じく、その向こう側には、土地の文化と人の営みが静かに重なっている。それを、ただ一杯のお茶が感じさせてくれました。
仕掛けに酔うスピークイージー
Googleマップを頼りに辿り着いてみたものの、店がどこにあるのか分からない。確かビルの間の細い路地を入るとあったはず、と以前見たSNSの記憶を頼りに足を踏み入れる。小さな看板「BAR PUN」を見つけてひと安心、と思いきや入り方が分からない。

▲店に続く細い路地

▲小さな看板

▲押してはいけないボタン
ドアらしきものはあるが開け方が分からない。ここに間違いないのだが分からない。ネットで調べると「押してはいけないボタン」とある。これに違いないと思うのだが。
昔、カナダのマンションで友人が似たようなボタンを押して非常ベルを鳴らし、消防車が何台も来て大騒ぎになったことがあった。その記憶がよぎるが、やるしかない。ボタンを押すとカチッという解錠音。すかさずドアを押し、ようやく中へ。
と思ったのも束の間、さらに一段。スタッフが現れ、ベルトリールパーテーションで仕切られた先には入れないと待たされる。予約を確認して、ようやく席に通された時には、安堵感もひとしおだった。

▲オリジナルカクテル
こういう仕掛けは、誰かを連れて来たくなる。その気持ちが残る限り、この体験は終わらない。
店を出ると、台北の夜はまだ賑やかだった。雑多な光と音に包まれながら、少しだけその流れに身を委ねる。屋台の熱気、茶藝館の静けさ、そして扉の向こうに仕掛けられた物語。同じ街の中に、これだけ異なるリズムが共存している。台湾という街は、味わうほどに、その奥行きを見せてくる。
written by Nob2
20代からホテル、飲食サービス業に従事、福岡市のホテルイルパラッツォ、北九州市の門司港ホテル、札幌市のジャスマックプラザホテルなどの経営に携わる。2006年、ワールド・グルメ・バイキング宮崎山形屋店をオープンさせ話題に。2019年、全事業を売却しフリーのコンサルタントに。様々な国や地方の食文化を学びながら、モットーである、サービス業を通して「街を元気に、街の暮らしを豊かに」するを実践中。



