
ソウル再び、食で広がる街の奥行き

訪れた場所:ソウル(韓国)
船上でデパ地下グルメに舌鼓
すっかりファンになったソウルを再訪しました。今回は夜景ツアーからスタートです。
ソウルを南北に分けるように流れる漢江沿いにある汝矣島(ヨイド)は、国会議事堂や証券取引所があり、東京でいえば丸の内のようなエリアです。長らくビジネス街として発展してきたため商業は難しいと言われていましたが、近年は話題の多い人気エリアへと変化しています。大谷翔平が滞在し、水原一平と最後の話し合いをしたとも言われるフェアモントホテルや、最終話視聴率24.9%を記録した話題作「涙の女王」の舞台にもなった百貨店もあります。

▲漢江、盤浦大橋の月光レインボー噴水
長さ1,140mを誇る「世界で最も長い橋梁噴水」としてギネスにも登録されている「月光レインボー噴水ツアー」の予約を試みるも、直前では予約が取れず、南山タワーとセットになった夜景ツアーに参加することになりました。結果として、現代百貨店での自由時間やロケ地見学に加え、デパ地下で軽食を調達して乗船できるなど、内容は充実しており、満足度の高いツアーでした。
現代百貨店は、従来の常識を覆すだけあり、コンセプト、デザイン、プロモーションのいずれも完成度が高く、日本の百貨店とは大きく異なる印象を受けます。香港のK11 MUSEAで感じたアート融合型商業施設の衝撃にも通じるものがあり、それに匹敵する刺激がありました。
特に地下フロアのフードゾーンの作り込みや、来店客に占める若年層の多さは印象的で、日本の百貨店にもまだ可能性があることを感じさせます。天候にも恵まれ、漢江のナイトクルーズ、そして南山タワーからの夜景も存分に楽しむことができました。

▲現代百貨店のデパ地下フードコート

▲百貨店のアトリムガーデン
サムギョプサルは外せません

▲皮付きの豚バラブロック
翌朝はゆっくりと起き、ランチからのスタートです。薬水(ヤッス)にある人気店「金豚食堂」でサムギョプサルをいただきます。韓国といえばサムギョプサルということで事前に調べ、ミシュランにも掲載されているこちらのお店を選びました。
オープン1時間前になると店頭に設置されたタブレットでウェイティング受付が始まり、順番が近づくとメールで通知される仕組みです。分かりやすく、非常に効率的です。今回は無事7番を確保し、近くのカフェで待機しました。
開店と同時に満席となり、すぐに行列ができる人気ぶり。早めの来店が正解でした。2階席のカウンターに案内され、サムギョプサルのセットを注文。チゲ鍋(〆のラーメン付き)に加え、三種の肉、キムチ、サンチュ、エゴマの葉などが揃います。焼きはスタッフが担当し、食べ方も丁寧に説明してくれます。

▲焼き手の手元

▲サムギョプサル

▲セットのチゲ鍋
塩でシンプルに味わうほか、ネギを使ったタレ、サンチュにニンニクや味噌を添えて巻くなど、多様な食べ方が楽しめます。軽く火を通したバジルと合わせる食べ方も印象的でした。ボリュームも十分で、満足感の高い内容です。
退店時も多くの待ち客が並んでおり、その人気の高さがうかがえます。訪問の際は早めのウェイティング登録がおすすめです。明洞から地下鉄で約20分、3号線ヤッス駅から徒歩5分ほどです。
伝統酒が面白い

▲モダンな店内
夜は韓国伝統酒を楽しめる店へ。ノクサピョンにある「Mr. Ahn’s Craft Makgeolli」は、モダンな空間でマッコリを中心に、ソジュやチョンジュなど多彩な韓国伝統酒が楽しめる一軒です。
中央には大きなテーブル席、周囲にテーブル席を配した30席余りの店内。平日にも関わらず満席で、二回転目の来店もあるほどの盛況ぶりでした。客層は海外客や帰国子女と思われる層が多く、全体に洗練された雰囲気です。特に女性客の比率が高い点も印象的で、日本の焼酎界隈においても参考になる視点を感じました。

▲人気のケールの葉包
料理は韓国料理にモダンなアレンジを加えた構成で、完成度が高く満足度の高い内容です。スモールディッシュは一口サイズで楽しみやすく、なかでも多くの客が注文していたマッシュルームのクリーム煮をケールで包んだ一皿は、見た目・味ともに印象に残りました。
一方でラージディッシュはボリュームがしっかりあるため、複数人での利用が適しています。
繁華街からはやや離れていますが、お酒好きであれば訪れる価値のある一軒です。明洞からバスで約15分、地下鉄6号線ノッサピョン駅から徒歩8分ほどです。

▲ボリューム満点のポッサム

▲マッコリの数々

▲マッコリ飲み比べ
ソウルでもスピークイージー
最後にもう一軒。明洞の隠れ家バー「SOOKHEE」です。
事前に電話予約を済ませ、「ロイヤルホテル向かいのスターバックスが入るビルの4階」と聞いて向かいましたが、看板が見当たらず場所が分かりません。再度電話で確認し、指示通り進むと、控えめな張り紙とボタンを発見。押してみると扉が開き、ようやく入店できました。スピークイージーらしい演出です。
店内はカウンター、テーブル、個室と構成され、バーとしては比較的広めの造り。内装も個性的で印象に残ります。
メニューには韓国メロン「チャメ」を使ったカクテルや、麦芽発酵飲料「シッケ」をアレンジしたものなど、韓国らしさを取り入れたオリジナルカクテルが揃います。ウイスキーの品揃えも充実していて、素敵な時間が楽しめました。

▲オリジナルカクテル

▲韓国産シングルモルト

▲南山ソウルタワー
屋台の熱気から始まり、デパ地下、サムギョプサル、伝統酒、そして隠れ家バーまで。食を軸に巡るだけでも、この街の表情は次々と変わっていきます。味だけで比べると、日本の方が好みに合うと感じる場面もありますが、現地で味わう体験にはそれ以上の魅力があります。
気軽に訪れられる距離にありながら、来るたびに新しい発見がある街。今回も、その奥行きをしっかりと楽しむことができました。次はどこを巡るか。そんなことを考えながら、また訪れたくなる街でした。
written by Nob2
20代からホテル、飲食サービス業に従事、福岡市のホテルイルパラッツォ、北九州市の門司港ホテル、札幌市のジャスマックプラザホテルなどの経営に携わる。2006年、ワールド・グルメ・バイキング宮崎山形屋店をオープンさせ話題に。2019年、全事業を売却しフリーのコンサルタントに。様々な国や地方の食文化を学びながら、モットーである、サービス業を通して「街を元気に、街の暮らしを豊かに」するを実践中。



